バフェットのモート(堀)とビットコインの今後
かの有名なウォーレン・バフェット氏は、兼ねてから企業の持つブランド力を城を守る堀(モート)に例えて、ワイドモート(深い堀)を持つ企業に対しての投資を推薦している。
その投資原則に対して、電気自動車大手のテスラCEOイーロンマスク氏が噛み付いた事が話題となった。
「モートは時代遅れで、これからの時代はイノベーションペースだ。」
現代においても堀は確かに存在する。
本日付けの日経の記事だが、ユニチャームのおむつ販売が中国で好調であると報じた。
要旨は、ユニチャームが中国で築いたブランド戦術が功を奏し、その成果が今期の1〜3月の決算に現れたという形だ。
4月以降も中国におけるユニチャームの好調は続いている。
しかし堅実な戦略と地道な努力で、中国において価格よりも品質のブランド力を築くことには成功したが、未だライバルのモートを破る事が出来ていない。
破れていないモートとは、米大手のプロクターアンドギャンブル(P&G)や米キンバリークラークなどの圧倒的な知名度とブランド力だ。
P&Gは中国で2割を超えるシェアを誇っている。
ユニチャームは95年から中国に進出し、企業努力を進めてきたが、他社が先行して築いたモートに苦戦をしている。
P&Gは中国においてワイドモートを持っているといって良いだろう。
こうした例は、おむつでなくても様々な例が各業界で起きているし、それは歴史が証明している。
新規参入者が、このモートを持つ企業達を打ち負かすのは簡単な事ではないのだ。
仮想通貨の世界とは全く違うおむつ業界の話ではあるが、ユニチャームはイノベーションによってこのモートを埋める事はできるのだろうか。
ビットコインを企業に例えて考えてみる。
仮想通貨の中で最も代表的なものとしてビットコインがある。
ビットコインは企業ではないが、ビットコインを企業に例えて考えてみる。
ビットコインは2008年にサトシによって創業されて以来、業界最大シェアを誇っており、仮想通貨の中で最大の時価総額を誇っている。
最大の時価総額を誇っているという点については、変わっていないが、創業者は既に引退をしてどこかに行ってしまった。
創業者が姿を消した事は英断と評価されているが、後の混乱と分社化を招いた。
ビットコインは何度かの分社化(ハードフォーク)をし、その中には草コインのようなものもあれば、ビットコインキャッシュのようなビットコインの将来を脅かす有力なものも存在する。
他にもイーサリアム、リップルといったビットコインにはない機能やビジョンを持っていたり、優れた機能を持つ有力なアルトコインも存在する。
現状のビットコインは送金の遅延は起きるし、手数料も不安定の為、これら有力な対抗馬に対して具体的な対策を打ち出せていない。(ライトニングネットワークは実装されていない。)
機能的なもので言えば、上記にあげたもの以外のアルトコインでもビットコインの性能を上回るコインもいくつか存在している。
私の目には、かつてのビットコインにはワイド・モートが存在していたが、そのモートがゆっくりと埋め立てられているようにしか見えない。
去年の今頃であれば、仮想通貨の投資戦術としてはビットコインをガチホしているだけでよかったのであろうが、これからビットコインをガチホしたら、来年の今頃は泡を吹いて倒れてしまうことになるのではないかと思っている。
仮想通貨の顧客数は今年の3月段階で350万人程度で日本の全人口の3%に満たない。
これから益々利用者増が見込まれるだけに、ビットコインの持つモートがが小さなもの見えてならない。
市場が拡大していく中で、ビットコインが生き残っていけるかを注視していきたいと思う。